不眠症について
不眠症は、眠れないことで日常生活に支障が出る状態を指します。症状の現れ方にはいくつかのタイプがあり、人によって組み合わさって現れることもあります。これらの症状が続き、日中の倦怠感・集中力低下・眠気・気分の不調などにつながり、生活に支障が出る場合には、不眠症として治療が必要になります。
診断と症状(基準となる不眠のタイプ)
当院では、以下の4つの症状の現れ方、複数が組み合わさるケース、日中の生活への影響を総合的に評価して診断を行います。
入眠困難: なかなか眠れない
熟眠困難: 眠りが浅く、ぐっすり眠れた感じがしない
中途覚醒: 夜中に何度も目が覚めてしまう
早朝覚醒: 予定より早く目が覚め、その後眠れない
※「寝つきが悪く夜中に目が覚める」「早朝に目が覚め、熟睡感が得られない」など、複数が組み合わさることもあります。
治療法について
当院では、薬物療法の前に生活習慣や環境を整える「睡眠衛生」を基本とし、お薬を使用する場合は依存性が少なく安全性の高い新しい薬を中心に選択します。
1. 睡眠衛生(生活習慣・環境改善)
「健康づくりのための睡眠ガイド2023」に基づく主な改善ポイントは以下の通りです。
規則正しい生活: 起床・就寝時間を毎日一定にする
寝室環境の調整: 暗く静かで快適な温度に保つ
昼間の活動: 日光を浴び、適度な運動を行う
就寝前のリラックス: 読書や軽いストレッチ、スマホ・PCの使用を控える
嗜好品の管理: 夕方以降のカフェイン、就寝前の飲酒や喫煙を避ける
昼寝の工夫: 短時間にとどめ、夜間の睡眠に影響させない
2. 薬物療法(依存性の少ない新しい薬)
オレキシン受容体拮抗薬: 覚醒を促すオレキシンの働きを抑え、自然な眠りを促す薬です。依存性が少なく、中途覚醒にも対応しやすいのが特徴です。
スボレキサント(商品名:ベルソムラ)、レンボレキサント(商品名:デエビゴ)、ダリドレキサント(商品名:クービビック)、サレキサント(商品名:ボルズィ)
メラトニン受容体刺激薬: 体内時計を整えるホルモン「メラトニン」と似た働きを持ち、入眠を助ける薬です。依存性はほとんどありません。
ラメルテオン(商品名:ロゼレム)
ベンゾジアゼピン系睡眠薬: 従来から使われている薬で、入眠困難や中途覚醒に効果があります。ただし、依存や耐性のリスクがあるため、長期使用は原則避け、必要に応じて短期間使用されます。
併存症
不眠症は、単独の睡眠トラブルにとどまらず、他の重大なこころの病気のサイン(併存症)である可能性が非常に高いです。早期に適切な診断を行うことが大切です。
うつ病のサイン・併存としての不眠: 不眠は、うつ病の代表的な症状の一つでもあります。単に「寝不足」として片付けず、不眠の症状に加え、気分が沈む(抑うつ気分)、何事にも興味がわかない、楽しいと感じられない、食欲がない、疲れやすいといった抑うつ的な症状が同時に見られる場合は、うつ病が原因である可能性があり、早期の受診が必要です。不眠症の治療と並行して、原因となるこころの不調に対する適切なアプローチを同時に行います。
※詳細は[うつ病ページ]もご覧ください。
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