2026.07.28
不眠症(睡眠障害)について
普段、診察をしていると、「不眠症=なかなか寝付けないこと(入眠困難)」と考えていらっしゃる方がおられます。しかし、不眠症には「寝付けない」こと以外にもいくつかのタイプがあります。
今回は、不眠症のタイプやその原因、そして日常生活でできる改善法について書いてみます。
1. 不眠症の3つのタイプ
不眠症は、現れる症状によって大きく次の3つに分類されます。
入眠困難 布団に入ってもなかなか寝付けないタイプです。一般的に「眠りにつくまでに30分以上かかる状態」と定義されています。
中途覚醒 夜、眠っている途中で「数回目が覚めてしまう」「途中で目が覚めると、その後なかなか寝付けない」という状態です。
早朝覚醒「自分の予定していた時間よりもかなり早く目覚めてしまう」「早朝に目覚めた後、それ以降眠れなくなってしまう」という状態です。
※以前は「深く眠れない」という「熟眠障害(熟眠困難)」も分類の一つとして扱われていましたが、現在は診断基準の改訂に伴い、独立した分類からは除外されています。
「途中で何度も目が覚める」「朝早く目が覚めて困っている」という症状も不眠症の重要なサインです。
2. 原因による分類:「一次性」と「二次性」
不眠症は、その原因によって「一次性」と「二次性」に分けられます。
一次性不眠症 特に明らかな原因(他の病気や環境の大きな変化など)が見当たらないにもかかわらず、不眠が続く状態です。
二次性不眠症 身体の病気、メンタルヘルスの調子、薬の副作用などが原因で起こる不眠です。
特にメンタルヘルスとの関連は深く、最新の研究(Nat Rev Dis Primers. 2026)でも、不眠症において「うつ病」や「不安症」などの精神疾患が併存している割合は50%以上にのぼることが報告されています。
「ただ眠れないだけ」と思っていても、実はこころの不調が背景に隠れているケースは決して少なくありません。
3. ご相談をおすすめしたいケース
もし不眠に加えて、以下のような症状が出ている場合は、ご自身だけで抱え込まず早めの受診をおすすめします。
気分が落ち込む、憂うつになる(抑うつ気分)
これまで好きだったことや趣味に興味が持てない
何をやっても楽しめない
こうした症状がある場合、不眠がうつ病や不安症のサインとして表れている可能性があります。早期にご相談いただくことで、心身ともにスムーズな回復を目指すことができます。
4. まず試してみたい生活習慣の改善
「抑うつ気分などの強い心身の不調はないけれど、眠つきや眠りの浅さが気になる」という方は、まずは以下のような生活習慣の見直しから始めてみましょう。これらは非常に効果的な治療的アプローチ(非薬物療法)となります。
遅寝早起き(睡眠制限)を取り入れる 「眠れないから」と早く布団に入ったり、休日に長時間の寝床滞在を続けたりすると、かえって睡眠の質が低下してしまいます。 そこで効果的なのが「睡眠制限(遅寝早起き)」という考え方です。あえて寝床にいる時間を「実際に眠れている時間」に合わせてギュッと制限し、「布団の中=しっかり眠る場所」という感覚を取り戻します。最初は「遅く寝て、決まった時間に早く起きる」ことを意識し、ベッドの中でダラダラ過ごす時間を減らすことで、睡眠の効率と深さを高めていきます。
カフェインを控える コーヒーや紅茶、緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは覚醒作用があります。特に夕方以降の摂取は控えましょう。
喫煙を控える ニコチンには強い覚醒作用があります。就寝前の喫煙は睡眠の質を大きく下げてしまいます。
お酒(アルコール)を控える お酒を飲むと寝つきが良くなるように感じられますが、夜中に目が覚めやすくなり(中途覚醒)、深い睡眠が妨げられます。
おわりに
「生活習慣を整えても改善しない」「日中の眠気や倦怠感が強くて辛い」「気分も落ち込んでいる」という方は、どうぞお気軽に当院へご相談ください。睡眠の状態や生活スタイルに合わせたアドバイス・治療を行ってまいります。
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